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戸愚呂(弟)は本当にB級妖怪だったのか? 幽白・後付け設定調査隊No.1

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 インフレ――――『ドラゴンボール』を基盤とするジャンプ・バトル漫画には避けられない諸要素だが、『幽遊白書』においても急激なインフレは避けられなかった。その典型的なものが「戸愚呂(弟)がB級妖怪」だという一文である<注1>
 作中で最強キャラだった戸愚呂(弟)がB級だというだけでなく、続くボスキャラの仙水がS級クラス、何よりも飛影&蔵馬がかつてA級妖怪だったことが読者の気持ちを複雑にさせた。元A級妖怪がB級妖怪にあんなにビビっていたのは何故なんだ、と。

 その為、「戸愚呂(弟)のB級説は霊界の測定ミスだ」などといった説が飛び出る始末。それほどに急激なインフレが違和感だらけだったのだ。

 だが、ちょっと待って欲しい。そもそも、この妖怪の“〜級”という判定は何なのかを考えてみよう。この判定を行っているのは間違いなく霊界側である。ムーディーズの格付けのように、幾ら現場から「えぇっ!?戸愚呂(弟)がB級なんて実体ともなっていないよ!」という声が出ても、霊界が「B級だ」と言い張れば覆らないのだろう。なので、早くも結論である。

 戸愚呂(弟)はB級妖怪で間違いない。

 では、霊界の判定基準とは――――コミックスを読み返してみると、これは単純な妖力や戦闘力の強弱ではないことが分かる。コエンマや霊界特防隊の発言を整理してみると・・
 1.界境トンネルの第三段階では、D級以下の高等妖怪が生まれだす。
 2.界境トンネルの最終段階では、B級以下の妖怪が自由に魔界と人間界を行き来できるようになる。
 3.魔界の奥底にはA級妖怪とS級妖怪がいる。
 4.魔界と人間界の間には結界が張ってあり、A級以上は通れない。
 5.幽助と戦った頃の飛影はD級上位、武術会決勝時はB級中位、戸愚呂(弟)はB級上位にランクされている<注2>

 6.魔族大隔世が出来るのはA級以上。
 7.特防隊が力を合わせるとA級妖怪と互角に戦える
<注3>


 それと、純粋な霊界関係者ではないが―――仙水と蔵馬も“〜級妖怪”について解説を加えている。これらが全て正しいかは分からないが、彼らが深く霊界と関わっていたことを考えると、参考にする程度には役立つ。

 8.B級を境に高い知性と理性を持つ妖怪に成長する。
 9.A級妖怪になると、人間界で「神」「神話の怪物」として語り継がれる者さえいる
<注4>

 10.霊界の力では手に負えない妖怪を全てS級としている
<注5>


 特に“10”はこのランク分けにおいて重要なヒントになるだろう。この蔵馬の説明だと、「どんなに強くても霊界が捕まえることが出来ればA級だと判定される」ということも言える。例えば、S級クラスの仙水に勝てる山田(仮名)という妖怪が居たとしよう。相性の問題で、この山田(仮名)が霊界特防隊に敗れた場合は山田(仮名)=A級妖怪と判定されるということだ。
 これは何もS級/A級のランク分けだけに適応される話ではない。戸愚呂(弟)はB級上位だったが、彼に勝った幽助がB級上位やA級クラスとはならない(当時の幽助は人間だが) 戸愚呂(兄)に勝った桑原が、彼よりランクが上ではない。勝ち負けだけでランキングはされないということだ。

 この傾向は、冨樫漫画の最新作『H×H』にて最も健著に見られる。ウボォーギンは念の総量も熟練度もクラピカよりも上だったが、クラピカの幻影旅団限定で強力な攻撃が出来るという“制約と誓約”の前に敗れた。

 つまり、限定条件下でしか力を発揮できないというのは評価に繋がらないのではないかという推測が出来るのだ。例えば、仙水戦時の飛影が黒龍波を喰えば特防隊全員を倒すことが出来るかも知れない。しかし、その後の冬眠状態を狙われれば飛影はあっさりと抹殺されるだろう。この“〜級妖怪”というランク分けで評価されるのは、どんな条件下でも力の発揮できる安定した妖怪だということだ。
 戸愚呂(弟)は100%になると、理性も欠け、腹が減りやすくなる
<注6> その為に弱い妖怪を次々と吸収していったのだが、“ザコい妖怪が数多く観ている”という条件を満たすのは相当難しい。武術会決勝でなければ、あれほど強力な力を発揮することは出来なかったろう。あの決勝戦では仙水戦時の飛影&蔵馬(A級クラス)に勝てたとしても、戸愚呂(弟)の評価はB級どまりなのだ。
 もちろん妖力が上がれば戦闘力も上がる訳で、相性うんぬんで敗れる可能性は減るだろう。一般論で言えば、B級よりもA級妖怪の方が強いのも間違いない。戸愚呂(弟)が幾ら強いといっても、どんなに条件が整っても雷禅や仙水に勝てはしない。だが、『幽遊白書』の世界ではランク分け=強弱のピラミッドではないということも間違いない。

 結論その2.戦闘の強さが霊界のランク分けの重要な要素になるのは確かだが、必ずしもソレが全てではない。


 さて、しかしこの“ランク分け”は霊界だけでなく、魔界でも使用されているみたいだ。北神は初対面の幽助に自分らの力を説明する際に、「霊界側の能力基準で言いますと・・・・」と言っている
<注7> 躯や時雨もたびたび「A級妖怪」という言葉を使っている<注8>
 魔界でも人間界−霊界の情報を入手していたようだから、彼らの国でS級妖怪/A級妖怪という言葉を使うのは納得である。少なくともS級クラスであれば霊界は手が出せないのだから、幽助をスカウトした時のように人間界へ赴く時にはS級妖怪が責任者として就くのだろう。
 黄泉の国では妖力値の測定が進んでいた為に、この“ランク分け”は用いられていない。彼にとっての部下とは、コマとしての戦闘能力が重要だったのだろう。いずれにしろ、魔界での使われ方も霊界のソレと大差がないものだと思われる。


<注1>
13巻「遺志を継ぐ奴等」




















<注2>13巻「遺志を継ぐ奴等」〜14巻「虎穴に入らずんば」


<注3>16巻「覚醒の瞬間」〜17巻「一対一、再び」





<注4>15巻「瀬戸際の対峙」
<注5>17巻「仙水の遺言」



















<注6>12巻「怒りの不足」














<注7>17巻「魔界への招待状」
<注8>17巻「それぞれの決心」
18巻「それぞれの一年 飛影 前編」


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