リアル 5巻 リアル 4巻 WORKING!! 1巻 ONE OUTS 13巻 ONE OUTS 12巻 



リアル 5巻 Amazonで購入
井上雄彦
集英社・YJコミックス
2005年11月18日・発売
自分探し・車イスバスケ・障害者
 表紙は野宮―――本当なら野宮→戸川→高橋→野宮→戸川→高橋とループさせていきたかったんでしょうけど、4巻が戸川の過去編だったため、野宮が5巻に回ってきたっぽい。表紙ではバスケをしている彼ですが、作中でバスケをしているのは1シーンだけ・・・・・

 本編は、高橋が西高に戻ってくる話〜高橋母が壊れてしまうまで。
 こうやって野宮、戸川、高橋という3人の主人公を別々に描いておきつつ、時折ザッピングするように誰かが誰かに絡んでくる―――という本来あるべきスタンスに戻ってきました。これこそが『リアル』の本筋なんでしょうが、如何せん前巻の戸川過去編が凄まじすぎたために、ちょっとインパクト薄いかという不安はあります。本質的な面白さは何ら損なわれてはいませんけどね。


 ○ 高橋
 3巻のラストにてリハビリに前向きになった彼ですが、そもそもその熱意は“野宮への怒り”が根底にあるワケで・・・・他人と自分をランク付けして優越感に浸るという悪いクセは直らず。復学の可能性と、戻る場所のない現実を突きつけられたことで自暴自棄に。

 また、これまで支えになってくれた高橋母も「高校に復学すれば全てが元に戻る」という幻想の元で、「いかに経歴に傷をつけないか」に執着するばかり。


 高橋が高校に戻って「居場所がない」と思うシーンが象徴的なように、この『リアル』では“レールから一旦外れてしまうと元には戻れない現実”を残酷なまでに描いています。この辺り、非常にリアルです。漫画の中だけでなく、僕らの社会も“レールの上を真っ直ぐ歩いている人間”と“それ以外の人間”は区別され、どんなに願ってもレールの上には戻れない現実というものが存在します。
 だから、高橋母は「元に戻せば」と現実から目を逸らして幻想にのみすがり、高橋本人は「どーせ元に戻れねえや」とサジを投げてしまいました。高橋編はそうして八方塞のままこの巻は終わってしまうんで、ここだけ見るととっても暗い気持ちになってしまうんですが―――実は、この答えは野宮編、戸川編を読むことでちょっとだけ見えてくるんですよね。詳しくは後述。


 ○ 野宮
 日本代表入りした戸川に置いてけぼりを喰った野宮は一念発起、ギャンブルで稼いだあぶく銭で免許をゲットしました。井上作品でのパチンコっていつも惨敗ですから、この展開は結構違和感あるなぁと思いつつ読んでいましたよ。

 でも、免許とれた後の野宮の台詞はジーンときた。かくいう僕も運転すげー苦手で免許とるの苦労したクチ。
 
「そんなもんに9か月もかかって、人は笑うかも知らねーが俺にとっては・・・
 俺にとっては大きな一歩めだ」

 これはきっと高橋編への答えの一つのカタチ。高橋曰くEランクの野宮も、自分なりに悩んで苦しんで、他人の目を気にして―――でも、勇気を出して一歩踏み出すことの大切さを知りました。他人に笑われたっていいじゃない、自分の人生は自分だけのものなんだから。


 ・・・・と、美談でまとめることも出来るのに、井上雄彦はまだ野宮に試練を与える。
 「一歩目を踏み出せば俺は変わる」とポジティブに考える野宮は、言い換えればそこで思考停止してしまっていること。案の定、夏美にキレられ、野宮も逆ギレする始末―――でも、逆ギレの末の心の声こそが、野宮の生の言葉なんでしょう。

 
「こいつと出会わなければ俺はとっくにダメになってた。
 こいつの存在が・・・前へ進めって、背中を押すんだ」


 きっとそれは戸川にとっての野宮も一緒のはず。
 別に好き好んでつるんでいるワケでもないけど、互いの存在が、自分をちょっとだけ前向きにしてくれる―――高橋に欠けているものは、きっとそんなもの。




 あ、余談ですが5・7・5で詩にしちゃう夏美のクセって、4巻の野宮から伝染したってことですよね。夏美はもはや完全にツンデレです。


 ○ 戸川
 田村の離反によって、タイガースは過半数を失い、実質的な解散の危機。
 ドリームスからの誘いを受けている戸川だが、虎やヤマが築いてきたタイガースの歴史を失いたくなく・・・・と、もがいているところにナガノミツル登場。

 4巻で戸川の試合を観ていたナガノは「チームリーダーになってしまってはエゴイストにはなれない」と嘆いていたのですが、まさかナガノ本人がタイガーズのチームリーダーになって戸川をエゴイストに戻そうとするとは。想像以上の熱い男です。

 
「エゴとはいわば「自分はこんなプレイをする人間である」宣言
 「自分のプレイはこうだ」という決めつけにも似た信念」


 ナガノの言葉もまた、高橋への答えの一つのカタチ。他人の目と評価の中に溺れ、自分自身を失うことの怖さを知っているナガノは、戸川に「まずエゴイストになれ」と言いたかった。自分の信じているものを信じてやれ―――と。

 今の段階では超越者的ポジションのナガノだけど、これから落ちてしまうか、これまでの苦難みたいなものを描かれるともっとこの言葉に重みが出てきそうです。夏美や安積にもちゃんと苦悩や葛藤を与えた『リアル』ですから、ナガノもその例外はないと思いたいです(超越者ポジションなら虎が既にいるので)



 それはそうと―――雑誌連載時にも話題になりましたが、週刊バスケットボール編集部出身の中村太造という人物は中村泰造という編集者をモデルにしているみたいです。
 この人、『スラムダンク』にも登場していて、相田弥生の後輩だった週刊バスケットボールの新人記者も中村という苗字(下の名前は明らかになっていない)。ググっただけの情報なんで不確かではありますが、『山下たろーくん』や『珍遊記』にも同名の脇キャラが出てきたそうで、あの時代のジャンプの敏腕編集者だった模様(その他にも黄金期の多数の作品を手がけたみたい)。

 で―――ジャンプ後はどうやらYJに異動になったそうで、井上先生や画太郎先生の移籍にも一役買ったという情報もあったり(真偽のほどは定かではありませんけど)



 まぁ、結局は『スラムダンク』同様に相方の女性に全部持っていかれるんですけどね。こちらの女性はモデルがいるのか分かりませんが、たった4ページでも凄い存在感だったので再登場を希望します!

 
「車イスバスケはメジャースポーツか否か?
 いや・・・・・じゃなくて・・・・・・
 車イスバスケはスポーツか否か?
 今度の出発点はそこですよ。こんな大きなチャレンジないですよ」


 相変わらず、通りすがりの女性キャラにこんな台詞を言わせてしまうのが井上雄彦なんですね。この会話、きっと井上先生本人の熱意と葛藤が入り混じったメッセージなんでしょう。熱い、クソ熱い。


 この続きは今週発売のYJに掲載。こうやっていつも集英社の戦略にハマり、YJを読み漁ってしまうのでしょう。それでも良いのです。熱い話が読めるのならば。













リアル 4巻 Amazonで購入
井上雄彦
集英社・YJコミックス
2004年11月19日・発売
自分探し・車イスバスケ・障害者
「よかったじゃないですか。
そこで目標の10秒台を出して日本一になっちゃったら、次の夢は追えなかったかも知れませんよ。」
「次の夢―――あたしたちはなかなか完ペキにはいかない。でもさあ、何かが欠けてるからこそ前へ進めるってのはあるよね。完ペキに満たされたなら、そこから先の人生にどんな意味があるっていうのよ。ねえ?」

 言語化。井上雄彦が『スラムダンク』『リアル』で言い続けてきたことが、ここで明確な言葉として描かれる。このセリフを野宮でも戸川でもなく、その日バッタリ出会っただけの女のコ達にさり気なく言わせる心遣い。このセリフをもって作品が完結してもいいくらいの作品全体のハイライトシーンなのだけど、完結したのは戸川の自立物語だけであって、野宮の自立物語はまだなんだよね。

 表紙は戸川、内容も戸川一色。ひまわり杯での激戦、それを経てタイガースが解散してしまう。(ここの理由、田村の言い分はガキ臭いだけなんだけど、他の人の言い分は「障害者スポーツ」の現実を照らし合わせていて言葉を失ってしまう) だけど、皮肉なことにひまわり杯の活躍が認められて、戸川は日本代表入り―――彼が日本代表に憧れていたのは、車イスバスケを始めるきっかけをくれた或る人物の存在があったからだ・・・・・・
 2巻の過去編では骨肉種発病という肝腎の場面で途切れていたけど、4巻では「その後」が語られる。右脚の切断から自分の殻に閉じこもる戸川、彼を新しい世界に引き込んだのはヤマであり虎という男だった。戸川と同じ脚でありながら、カッコよく、日本代表に入った虎。彼は戸川にバスケを教えただけでなく、「生き様」を見せつけていった。

「少年、父ちゃんが息子をどう思うのか―――決めるのは父ちゃんだ。
親父としてどんな人間でありたいかは父ちゃんにしか決められない。」

 父親にすら「重荷」扱いされた男に、虎は人と人の繋がりを教えてくれた。
 作品の根底にある“確かな優しさ”を感じた。これこそが、井上雄彦―――













WORKING!! 1巻 Amazonで購入
高津カリノ
スクウェアエニックス・YGコミックス
2005年11月25日・発売
4コマ・ファミレス・人類の坩堝
 お値段1冊500円ということで、普通の青年誌のコミックスより若干お安いのですね。その分ちょっとページ数少ないかなぁ・・・・と買うときには思っていたんですが、読んでみてビックリ。驚愕の空白ページ0でした。『アイシールド21』か、この漫画は!?

 ま、まぁ・・・ジャンプと違ってヤングガンガンは偶数ページなので、コミックス化の際に余白のページが出来ないんですが。それにしてもカバーやコミックス本体、冒頭のカラーページ、巻末のキャラ語りなど―――お得感いっぱい。コレに加えて、各種フェアで描き下ろし4コマがあったのだから、流石に初単行本ですね!隅々まで読者を楽しませようと工夫がなされています。


 ○ 表紙
 種島先輩と、小鳥遊・杏子さんの首から下。よくある3ショットの絵ながら、種島先輩の小ささとか、さり気なく背伸びしているとことか、なかなかの遊び心。
 それはさておき、帯の「超ほのぼの4コマ」という謳い文句はツッコミ待ちなんでしょうか。「ほのぼのを超越している」という意味なら、考えた人は天才だと思いますけど。


 ○ 1〜3話
 小鳥遊、種島先輩、杏子さんの3人でまわしていたころ。今読むと新鮮ですね。
 小鳥遊に対して誰もツッコまないから杏子さんがツッコミ入れたり、杏子さんが「恋愛禁止」とか言ったり(杏子さんは八千代をちゃんと見るべきだと思います)、先輩がツッコミしてたり。色んなオマケ漫画とかで先輩がツッコミ役にまわるのに違和感覚えていましたが、彼女も昔はちゃんとツッコミしてたんですね。今となっては重度のボケボケ娘なのに。


 ○ 佐藤、やっちー、伊波登場
 佐藤初登場の回、全然憶えていなかったくらいフツーに出てたな。
 何気に出番多くて陰の主人公くさい佐藤ですけど、このキャラは小鳥遊が普通のトーンで話せる唯一の人物ですものね(恋愛ざたを抜かせば)。その上、種島先輩、八千代、杏子さんとの絡みで話を広げられるし、料理も作れる。実はファミレスの中心的人物なのです。
 カッコ良いキャラとかかわいいキャラだけでなく、こういうキャラは喩え人気なくても(佐藤は人気ありそうですが)、漫画的に必要不可欠なキャラなんだなぁと思ったり。男主人公を中心に可愛い女のコいっぱい配置してあるのに、ハーレム漫画という気が全くしないのは彼のおかげかと。

 やっちーは目が開かないキャラなのかと思っていましたが、22ページや51ペ−ジではちょっとだけ開いていました。51ページの殺意満々の顔とか結構な美人です。美人なら抜刀しても良いって問題でもないですけど。

 伊波は別に顔の造詣が変わっているワケでもないのに、登場当初よりも現在の方が断然美人ですね。何故だろう、貧乳ネタの問題でしょうか。最初の頃はそうでもなかったのに、今では2005年を代表する貧乳キャラになっちゃいました。やはり15話目の「あててんのよ」がエロイです。貧乳っこに後ろから抱きつかれたいもんです(肋骨折られそうですが)


 ○ 佐藤と小鳥遊の設定を知った上で読んでみると・・・・
 作者さま公式サイトのあとがきをチラホラ読み返してみると、この辺の設定は結構初期の頃から考えていたっぽいですね。最初の頃は不自然なほど佐藤・八千代の絡みがなかったり、あってもフォローとかだったり。
 小鳥遊の「年増」発言も、ああいう環境だったら仕方ない気もしますしね。家の中に年頃(笑)の女が4人もいるというのはどういう気持ちなんでしょうか。

 梢さん登場辺りから伊波がヒロインみたいで嬉しい限り。種島先輩はいつの間にボケボケキャラに。でも、アレですよね。漫画だから「同じ苗字ということは姉弟か!」なんて思えるけど、実際だと「へぇ〜同じ苗字なんだね」としか思いませんよね。何気に“漫画の常識”をメタ的に捉えた上手いネタだったのかも。

 あと、サイト版『WORK』のアライグマがさらっと出てたのには驚きました。


 ○ あとがきとかオマケ漫画とか
 八千代と佐藤は20歳。やっちーが杏子さんに出会ったのは10歳くらい、杏子さんは18歳くらいということですか。やっちーは高校行っていないとか杏子さんと同じ制服着てたとか色々と謎ですが、杏子さんが店長になるまでには二人とも色々な人生があったんだろうなぁとしみじみしてみたり。

 巻末カバー、およびカバー内本体は佐藤と小鳥遊。この二人、ホント良いコンビですね。まぁ絶対に色恋沙汰が争うことがないしね。



 ○ コミックスフェア系の4コマ
 アニメイトのレシート4コマだけはゲットできず。
 ゲーマーズ白黒バージョンのは2枚だけゲットしました。16種コンプした人がいたら神です。

 【まんが王
 こちらは今でもサイトで読めます。
 種島先輩、やっちー、伊波によるまんが王さんの紹介。種島先輩がコマに収まら・・・ない。今回のフェアでは先輩はともかく、やっちー・伊波はあんまし出番なかったので貴重ですよ。

 【ゲーマーズ】
 ヤングガンガンバージョンは種島先輩&杏子さん。まぁ、確かに僕もゲーマーズが何なのかはイマイチ分かっていません。ブロッコリーも深夜アニメのCMでスポンサー入ってる割に何だか分かっていません。一体何者?

 よりぬき白黒バージョンは、種島先輩&佐藤の「小さい人」と、音尾さんの「ワグナリアトップの男」の2枚が貰えました。伊波メインのが欲しかったけど、種島先輩が可愛かったんでまぁ良いや。

 サイト版のしおりは東田&村主さん。何気にこの二人も普通のトーンで喋れる貴重な存在かも。小鳥遊&佐藤みたいな。でも・・・・・ヤングガンガン版よりもサイト版の方がメンツ的には危険ですよね。伊波と宮越さんが戦力的にガチだとして、やっちーも志保ちゃんも日本刀持ってるし、杏子さんと同じくらい妃も仕事しないし。これに加えてサイト版は霊能力者とか借金王とか日本語喋れない人とか引きこもりとか赤ん坊とかいるし(もはや危険なんだか何なんだか)

 【スリーエフ】
 種島先輩&佐藤がスリーエフのだっさい制服(失礼)を着ている4コマ。先輩はウェイトレス以外のカッコは似合わねえな!!袖から手が出てないし・・・・・・・佐藤の名札が「さとう」「シュガー」「無糖」と細かく変化しているのに笑いました。POPにこんな細かいネタ詰め込んで、誰が気付くというのでしょう。



 というワケで隅々まで堪能させて頂きました。
 こういうオマケ要素満載なのは初単行本とかスクエニの力入り具合とかもあるんでしょうが、個人サイト出身者ゆえのサービス精神というのもあるんでしょうね。2巻発売が今から楽しみです。1巻も1年というスピードで出たので2巻も・・・・・と思いたいですが、今年は2話掲載がやたら多かったですしね。2巻発売の時期は、1巻の売上げ次第で変化しそうな。よし!だから皆、1人3冊ずつ買っておけ!!













ONE OUTS 13巻 Amazonで購入
甲斐谷忍
集英社・BJ/YJコミックス
2005年1月19日・発売
プロ野球・駆け引き・賭博
 表紙はトーア&彩川で、裏表紙が彩川。作品の象徴のような彩川だけど、表紙・裏表紙に登場するのは初めてなんですよね。ということは、トーアvs彩川のワンナウツ勝負も大詰めだということでしょうか。巻数も13巻なので、そろそろまとめても良いかな〜とも思うのですが・・・・・

 内容の方は、倉井・菅平・ムルワカの覚醒話の最終章。今までクズ扱いされていた彼らが活躍する様は相当なカタルシスを感じます。前巻で倉井が剛速球投手として目覚め、今巻ではムルワカ・菅平の出番なのですが・・・・・・・
 倉井覚醒は恩師登場というベタな方法だったためにガッカリしたもんですが、ムルワカ覚醒は『ONE OUTS』らしい良い感じのハッタリ効かせてあります。“どんな球種でも振り送れる”という伏線を活かし、220km/hを体感させることでスピード感覚を意図的に調整するという。その為に、前の前の巻で衝突していた高橋を使う辺りがニクイです。
 とまぁ・・・・倉井、ムルワカと怖いくらいに順調に覚醒して、このまま菅平も覚醒するっつーのは虫が良すぎるんじゃないか(伏線もなかったし)とは思っていましたが。衝撃の事実。

 「菅平には何ら才能なんて感じなかった」

 えぇぇ―――っ!!
 アンタ、11巻の90話で「あの3人はタダ者じゃねーよ」って言ってたじゃん!と、ツッコんじゃったものですが・・・・・唯一、彼が持ち合わせていた“執念”を揺さぶり、見事に1打点を上げる。その揺さぶりの過程は御見事と言わざるを得ない論理展開でしたよ。

 
「・・・アンタ、何もかもズレてるよ。勝負に生きる者として・・・“今”に命を削る者として・・・
 「反省する」とか「謝る」とか「次からがんばる」とか、そんなトロいことばっか言ってるから“時”に置いていかれる。気がつけば、自力生存の道すら失ってしまったのさ。
 悔いろっ!全身全霊で悔いるがいい!!」

 「今までのアイツは運まかせのサイコロ振りさ。6回振れば1回は1が出るはずと、ただ漫然と1の目を待つサイコロ振りさ。たとえ 100回連続で違う目が出ても、「100回続けて1が出なかったんだから、次こそは必ず1が出る」と言いながら、やっぱりサイを振るサイコロ振りさ。
 だが、勝負とはそういうものじゃない。
 100回 1が出なかったら、サイコロのイカサマを疑うべきなのだ。そして、100の負けを取り返すために、自分に有利なイカサマサイコロとすりかえるべきなのだ・・・」


 最初読んだ時は「珍しく主人公っぽいこと言うなぁ」と思ったものですが、こうして文字に起こしてみると全然そんなことなかったですね・・・・・「悔いるがいい!」とか言ってるし(笑)


 3人の覚醒話は倉井vs天海で締め。
 焦点は彩川オーナーに戻り、「試合中にかかってきた電話」「トーアへの年俸はどこから出ているのか」「彩川オーナーの秘策」と、順当に伏線を張って次巻へ。
 それにしてもブルーマーズのバッテリー・・・・・「心を入れ替えた」みたいに言ってたのに、あっさり買収されているという。この巻でトーアが言ってるように、「心を入れ替えた」なんて言葉は現実逃避でしかないってことか。はぁー。この巻はかなり勢いが戻ってきたかな。ラストまでこの調子で突っ走ってもらいたいです。













ONE OUTS 12巻 Amazonで購入
甲斐谷忍
集英社・BJ/YJコミックス
2004年8月19日・発売
プロ野球・駆け引き・賭博
 表紙・裏表紙はトーア。1枚めくった中のカラー絵は知らない女のコだ。だって、この漫画には女のコ出ないんだもの。こうやって潤いを増さなきゃって作者も分かっているのさ。別に何とも思わないようなルックスだけど(酷ぇ)

 前巻からひき続いてフィンガーズ戦の第1戦。倉井に対して自分をワンポイントリリーフに送り込むことによって、打線の7・8・9番が死に体になって。それを隠れ蓑にして、オーナー(と読者)に「勝負は5回まで」と思いこませて――――倉井の覚醒という大技で一気に負け分を引っくり返せるってときに、よりによってエース河中がマウンドに上がった。と、二転三転が速すぎて、内容要約してもよう分からん。
 まぁ、この巻のハイライトは倉井の覚醒であることは確か。この辺を無難に人情モノに仕立て上げる演出力は流石だ。

「ほんとにできないことだらけだった。でも、そのおかげで 本物の宝を見失わずに済んだんじゃないか」

 うぅ・・・・・良い言葉だ。
 うん、確かに良いシーンなんだけど・・・・・・・・渡久地視点だと、この“倉井覚醒”という確率の非常に小さい要素を確信しすぎだったような気がする。悪く言えば、御都合主義的っていうか。いや、確かにマリナーズ戦の試合放棄とかも、よくよく考えれば御都合主義なんだけど。それでも、あの頃は有無を言わせない迫力があった。試合放棄とかホームスチールとかインチキナックルとか。そうした野球漫画の常識を超えた「裏技」ではなく、“倉井が毎日投げ込んでいたおかげで160km/h超えた”という王道パターンだったことにガッカリしてしまっているのだろう。残念。

 なので次巻。ムルワカ、菅平の覚醒に“とんでもない大技”を期待したい。



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