もっけ 4巻 もっけ 3巻 もっけ 2巻 もっけ 1巻



もっけ 4巻 Amazonで購入
熊倉隆敏
講談社・アフタヌーンコミックス
2005年3月23日・発売
妖怪・民俗学・姉妹
 現在の最新刊ということで、これを読みきってしまうと5巻の発売までコミックスはお預け。1年に1冊しか出ない漫画なので非常に寂しいものがあります。まぁ、とか言いつつもアフタヌーン購読してるので、2ヶ月に1回は読めるんですけどね。

 結論から言うと、この4巻―――ムチャクチャに素晴らしいです。ほのぼの感は若干薄れちゃいましたが、1話辺りの構成がどれもこれも完璧で、話の方も新キャラ出したり、別視点から描いたり、過去を描いたり・・・・と、飽きさせない内容になっています。それが「熟練」なのか「安易な道」かは意見が分かれるでしょうが、僕個人としては、既刊の4冊の中ではダントツで4巻が一番好きですね。

 ということで、この巻は久々に各話感想書いちゃいます。
 それと巻末のあとがきにて、気になる情報が。

 
「この漫画、時系列はシャッフルなので―――(中略)―――次巻では、この二人一年上げるつもり」

 そうか!夏服と冬服が頻繁に替わるのに学年上がらなかったのは『サザエさん』方式ではなくて、時系列シャッフルだったからなのか!!1話完結モノな上に、既に姉妹のキャラは成長しきっているので、シャッフルしても確かに話は繋がる・・・・・
 これは隔月連載という形に合わせて、季節描写を入れてるからってことなんでしょうね。時系列を作品通りに並べちゃって、真夏にどんど焼きの話されても困りますものね。正しい選択だと思うのだけれど、こういう手法でちゃんと後々に学年上げたりする漫画って珍しいんじゃないかなぁ。

 今のアフタでは、中3と小6に学年が上がっていて・・・・進路の話題とか出てまして。この作中1年が連載で何年かかるかは分かりませんが、どっちにしろこの学年で終わりなんでしょうね。高校生になった静流も、セーラー服着てる瑞生も想像出来ませんもの。


<#19 エンエンラ>
 佐保さん初登場の回。こういう髪型のキャラ、頻繁に見かけるのだけど流行っているんでしょうか? コート、ブレザー、リボン、髪、スカートがそれぞれ別のトーンなので、下手するとペッタリしちゃいそうなデザインですよね。ロングヘアーの黒ベタで何とかバランス保てれてる状況。

 静流の台詞に熱くなってる暇もなく、「ぎゅ!」にやられました(笑)
 佐保さんは“年上の女性”という意味でも、“見えないけど興味があるキャラ”という意味でも、非常に貴重なキャラですよね。


<#20 ミツアシガエル>
 年下の男のコにモテモテの瑞生。久佐子ちゃんの出番が多いのが嬉しかったです。名前、どこかで既出でしたね。ワンピース姿が可愛い―――とまぁ、女性小学生への萌え話は置いといて。

 そういや、映画『マグノリア』とか『ジョジョ』とかでカエルが降ってくる話があって。何故カエルだけが降ってくるのだ?って話題になったりしましたけど・・・・カエルってのは色んな国の民話レベルで、徳とか知恵を持っている者として語られてることが関係あるのかな?


<#21 カミナリガリ>
 ここ数話で思ったのだけれど、静流の胸が大きくなってきてる気がします。いや、別に巨乳化されてるとかじゃなくてあくまでも貧乳の範囲内なんですけどむしろ僕のストライクゾーンど真ん中はこの辺りなんですが。ちょっとまぁ、「貧乳好き」という二つ名を持つ僕にとっては見過ごせないことだったので。

 
「お婆ちゃんもいるんだから大丈夫だって」

 今まで濁されていましたが、やっぱり二人のお婆ちゃんは既に亡くなっている模様。日本の宗教ごった煮状態というのは批判されがちですが、「お墓参りする夏の絵」ってのはノスタルジーを感じさせるキレイな絵ですよね。お墓参り自体がノスタルジーってのも、本当は良くない傾向なんでしょうが。


 話の方は、姉妹視点ではなく、かつて雷獣を飼っていた青年の視点での話。
 一般人の“見えない”青年の視点で常時進むので明らかにならないのだけれど、最後のコマで静流だけが雷獣を見る―――って演出が素晴らしいですね。姉妹でないキャラに視点を移すだけで、こういうことをアッサリ出来るのだから。やっぱり話作りの上手い漫画家さんですよね〜。


<#22 トオリカゼ>
 とまぁ、ここまでコミックス4冊分を一気に読んできた僕ですが。
 「どの話が一番好きだった?」と問われれば、迷わずこの回を挙げると思います。それほどまでに最初から最後まで完璧で、それでいてチビ瑞生萌え。冒頭4ページの家族の絵がとっても癒されます。お爺ちゃん、素直じゃないけど優しいなぁ。

 という訳で過去話。前回でお婆ちゃんが既に亡くなっていることを知ってしまった読者にとっては、静流視点で「お婆ちゃん、ムリしちゃダメだよ」と思うのだけれど、まだまだ小さい瑞生は我侭ばっか。この頃の瑞生はまだ今のように人間が出来上がっておらず、徐々に価値観を形成していくんだってことを序盤で提示するのですね。導入部10ページは、凄まじい出来です。

 
「お姉ちゃんの怒りんぼー!」
 「何よッ!瑞生のバーカ バーカ バーカ!」


 やばい。もう萌え死ぬ・・・・・・・・姉妹ファンはこの1話を読むためだけにコミックス4冊買う価値はありますよ、もう。チビ静流が素晴らしい。我侭な妹を持て余すお姉ちゃん萌え。


 カレーの話題で吹き出したのも束の間。
 無邪気にヒドいこと言う瑞生に怒る静流。ここで「人間が出来上がっていない」のは瑞生だけでなく、静流もだってことが読者に提示されます。この見せ方はホント凄いなあ。お手本のような過去エピソードです。読者が思っていること、知っていることを上手く利用する構成になっているという。

 
「御前ェな。人がそうそう思った通りに動けるなんて思ってんのか?
 平生からの鍛錬なしでは難しい。多少遅れたかしらんが、御前ェはちゃんと庇えたじゃねえか。普段から瑞生を守ろうと思ってたからだ。」


 ここでまぁ、見事に泣きました。やっぱこの漫画は爺ちゃんがいてナンボですよね。
 その後、冒頭で爺ちゃんが言っていた「風も色々ある」の通り、お婆ちゃんの匂いを運ぶ風に静流が救われて―――というラスト。あぁ、もう完璧。ここまで完璧な1話はそうそうお目にかかれるものではないですよ。


<#23 ジャタイ>
 イチャついている小学4年生の話。ちくしょー、ガキのくせにイチャつきやがって。
 でも、榎本くんはこの漫画の男のコにしては格好いいですもんね。

 蛇の描写で言えば、太宰かなんかの小説で蛇の卵を丸焼きにして―――みたいな話がありましたよね。その話も、確か丸焼けにしていた主人公ではなく、それを嘆いてた母親がじきに亡くなっちゃうという話だったような。蛇には、多分そういうイメージというか話が多いんだろうなって思いました。


<#24 イソオンナ>
 うわぁ・・・・・これはちょっと辛い話ですね。姉妹の体質を知っても理解できない人達の話。姉妹はごく親しい人(佐保さんとか啓子さんにも)にすら体質の話をナイショにしてるんだけれど、それもこれも、こういうバックボーンがあるからなのか。
 異能力を扱う漫画の場合、こういう話は絶対に1話入れなきゃいけないんですが・・・・よりによって親戚相手に、こんな仕打ち受けるのかー。ウチも親戚と仲良くないけど、親戚付き合いが出来ないってのは非常に辛くて「独りぼっち」感を覚えるんですよね。だからこそ、姉妹で依存しあって生きていくしかない姿に萌えるんですが(酷ェ)

 この話でも。そんな親戚の中に反発するお父さんがカッコいいのです。相対的に比較して“良さ”を描くってのはあんまし良いことではないのですが、他の皆と違って、父親だけは娘達の言うことを信じてあげているってのにジーンときちゃいます。


 あと、乳首描かれてるコマ見て、この漫画が青年誌だってことをようやく思い出しました。何だか性とか性欲とかを感じさせないファンタジーだったので。てゆうか、真っ赤になってる静流が良いなぁ。このコ、ことあるごとに「綺麗な人だ」とか「凄い美人」とか言ってるのだけれど、ひょっとして百合っこなのか??













もっけ 3巻 Amazonで購入
熊倉隆敏
講談社・アフタヌーンコミックス
2004年3月23日・発売
妖怪・民俗学・姉妹
 大体、この辺りの話をアフタでチラチラ読んで興味持ち始めた記憶があります。
 というワケで、僕の『もっけ』という漫画のイメージはこの頃のものが強いですね。どんど焼きとか、こういう地元に“かつてあった”風習を大切にしている漫画といった感じ。

 1巻では作品として「物怪に対してどう扱っていくのか」を明らかにし、2巻ではそれを通して姉妹のキャラを明確にしたので―――3巻はそこからちょっと切り口の角度を変えて、より“日常に密着した”話が多いかなと思います。学校のシーンとか登校シーンとかが増えましたもんね。やってることは1巻の頃から似たようなもので派手な変化は見られないんですが、飽きさせないように工夫されていると思います。

 「マジモノ」はとある橋に見られる物怪の話。
 「イナバヤマ」は出て行ってしまった猫の話。
 「ウシロガミ」はちょっと2巻の描き方に近くて、不自由を感じてる瑞生の不満の話。
 「マメオトコ」は静流に思いを寄せる同級生の話。
 「ケサランパサラン」は幼い日の瑞生の話。
 「ダイマナコ」は風習を忘れた現代に、律儀にやってくる厄神の話。

 あー、でも。やっぱり“日常に密着した話”よりも、新キャラとか新事実を切り口にした話の方が新鮮味があって面白いってのも確かな気がします。1話辺りの構成力は凄まじくどの雑誌でもエース格張れるとは思うんだけれど、読者を常に楽しめる「緩急」という点では弱いかも知れないって思いました。売れている1話〜数話で完結する漫画って、何よりこの「緩急」が上手いような気がするんですよね(あまり良い喩えが思いつかなかったですが、『コナン』とか『銀魂』とか)


 という訳で、3巻で僕が気に入ったのは「マメオトコ」と「ケサランパサラン」。
 「マメオトコ」は静流が学校内でどういう人物なのかを違う視点から描きつつ、冴えない男の悲哀を描いて。読者にはちゃんと「静流の目が泳いでいた理由」が分かっているのだけれど、作中のキャラはそれを知らない―――という二重の意味を描いているトコが楽しかったです。あと、妄想内の静流の積極っぷりも笑った。
 「ケサランパサラン」は、瑞生のルーツを描く話。友達とか友達家族の反応とか、瑞生の両親のスタンスとかを描いて、瑞生自身のキャラを描き直すという。チビ瑞生、かわいいです。おじいちゃんに抱っこされてるトコとか素晴らしいですね。



 そういや・・・・・疑問だった「小学生なのにランドセル使ってないの?」という件ですが、瑞生の友達の優ちゃんはランドセルを使っている模様。個人的にはもう一人の真ん中分けのコがタイプです。えぇ、小学生相手に「タイプ」とか言ってるよ、このオッサン。













もっけ 2巻 Amazonで購入
熊倉隆敏
講談社・アフタヌーンコミックス
2003年3月20日・発売
妖怪・民俗学・姉妹
 おー、何だかどんどん慣れた話になってきている気がします。
 こういう1話完結モノの漫画が化けるには数パターンあって、一番多いのは新キャラを投入してメインキャラを対比させるように描くことで活性化―――ってのだとは思うのですが。『もっけ』の場合は、あくまでキャラも世界も姉妹の周辺に絞って描いていて。彼女らの生活を掘り下げて描くことによって、その生活に密着する物怪を登場させ、物怪を通すことで彼女らを描きなおす・・・・って感じですかね。

 こういう話の作り方、2巻の話は「円熟」の域に達していて読み応えバッチシなんですが。ずっと続くと「飽き」に変わりかねないので、なかなか難しいんですよねー。その辺り、最新刊まで通して読んでみて、どう緩急をつけているのかに注目していこうと思います。

 この巻の話で言えば、「モクリコクリ」「ミコシ」「ヒョウタンナマズ」の3つが好きかな。
 「モクリコクリ」は空気が伝わってきそうな話で、1話としての構成もカンペキ。静流の緊張っぷりと護法神のマッチョっぷりが面白かったです(笑)
 「ミコシ」はストロベリ姉妹ものとして。離れ離れに暮らしてた頃の静流がかあいいです。年を経るにつれて、ちゃんと成長しようとして、瑞生を守れた―――今も同じように成長してるって構成が良かったです。あと「一緒に行こ」と言われて真っ赤になってる瑞生がかあいいです。

 「ヒョウタンナマズ」は―――1巻の感想にも書いたけど、瑞生は徹底してイイコチャンなんですよね。それはとっても真っ直ぐで格好良いんだけど、揺らぐこともあるし、迷うこともあるだろう。だったら、いっそのこと迷いに乗じてフマジメなヤツにしちゃおうって1話。2巻の中ではこの話が1番好きです。瑞生が後ろから静流に抱きついてるコマが良いですね(笑)


 1巻は学問寄りでとっつきにくい(難しい)話が多かったんですが、2巻はかなり読みやすく整理されてる印象でした。うーん、これならライトな漫画好きでもオススメできる作品って気がします。













もっけ 1巻 Amazonで購入
熊倉隆敏
講談社・アフタヌーンコミックス
2002年6月21日・発売
妖怪・民俗学・姉妹
 ちょっと“この漫画について”より離れた話題から入っちゃって申し訳ないのだけれど、2005年夏現在―――少年ジャンプにて「幽霊退治」「妖怪退治」のジャンルの漫画は4〜6作品が連載をされています。世相から“売れる漫画”の新ジャンルを開拓する能力に長けているジャンプという雑誌がこういう戦術なのだから、単なる漫画界のブームというよりも、雑誌のターゲットとなっている小中学生の心の問題が密接に関わっているような気がします。

 また、時を同じくして―――今季の深夜アニメもこの手の作品が流行っていて。こちらは少年ジャンプよりももうちょっと年齢層が上だから、悪い妖怪を退治するんじゃなくて、ゆったーりと町の中を一緒にテクテク歩いている様子を描いているだけだったりするんです。ちょっと前ですが、ほのぼの路線のジブリアニメとかもそうですよね、大人も子どもも楽しんで癒されるように作ってある。

 どちらにしろ、「孤独」とか「癒し」とか。現代日本の人々は子どもから大人までそういうものに悩んで飢えていて、だからこそ今こういう作品が求められているのだと思います。


 では、この作品は。
 この漫画が始まったのは・・・・・大体『千と千尋』と同じくらいの時期? だから、上述の最近の作品たちのように「孤独」とか「癒し」というのとは若干違っていて、むしろ民俗学や民間の伝承を上手く1話完結の漫画に取り込んでいる印象です。
 これはきっとアフタヌーンという青年誌だからこそ出来た話であって、見た目はほのぼの可愛い感じの絵で難しい解説なんか読み飛ばしても楽しめるように描かれているのですが、そのバッグボーンにある(資料も含めた)作者の知識が活きているんだと思います。


 まぁ、そんなウダウダした御高説なんかはどうでもよくて。
 圧倒的に姉妹萌え。

 妹:瑞生・・・小5.赤飯前。物の怪は見えないけど、とっても憑かれやすい。活発で面倒見がよくて、それでいて正義感も強い。作中ではあんまし描かれてないけど、絶対に同性・異性両方からモテるタイプですよね。

 姉:静流・・・中2? 姉妹揃って貧乳。長いスカート丈が萌え。物の怪が見えるために、余計なことに首をつっこむことが多々。そのことを誰にも言えない孤独を、妹にかまってもらうことで解消してる辺りが最高。

 3話目の「ナガレイズナ」の話がお気に入りです。
 イズナからカンニングの誘いを受けた瑞生が即行で断っているのが好感です。よくある子ども〜小中学生向けの漫画の場合、そこに耳傾けてあくどい事して最後に罰を受ける―――ってパターンが多くてウンザリしているので。こうやって子どもながらにちゃんとした分別と正義感を持っていて、その結果が裏目に出てトラブルが起こるって話になっているのに感心しました。



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