荒川弘
スクウェア・エニックス
ガンガンコミックス
2005年11月21日・発売
超能力バトル・ファンタジー |
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初回限定版は既にAmazonでは中古のみになっちゃいましたね。25日時点では、店頭にまだまだ在庫残っていたので、出遅れた人は大きめの本屋さんを探してみましょう。
表紙はリン&ランファン―――剣にブラッドレイの顔が反射しているのが細かくてカッチョ良いんですが、ちょいとしたネタバレです。その背後に銃を持ち泣き崩れるウィンリィとスカー。どんどんシリアスになっていくこの巻を暗示しているような表紙でステキですね。
背表紙はメイ・チャン(&パンダ)。そろそろキャラが足りなくなってきたような・・・・エンヴィー、グラトニーなんかは残っているけど、その次は誰がいるでしょう。
本編感想。
ホムンクルス捕獲作戦のために、スカーにわざと狙われてホムンクルスを誘き出そうとするエド達―――なんだけど、よりによって出てきたホムンクルスがブラッドレイとグラトニー。リンとランファンはホムンクルスの気配を感じることが出来るのだけど、ブラッドレイだけは普通の人間と同じように年齢を重ね、気配を感じることも出来ない。油断していたランファンがブラッドレイに斬られ―――というところから始まっています。では、感想開始。
○ リンvsブラッドレイ
グリードを圧倒したことから分かるように、現時点の敵さんで一番の恐怖がブラッドレイなワケですし―――迎え撃つリンはエンヴィーに苦戦していたくらいでイマイチ頼りなく、なおかつランファンが重傷という絶体絶命の状況から始まります。
10巻のラスト戦でも書きましたが、この緊張感は序盤でヒューズみたいな重要キャラをあっさり殺していたからこその緊張感ですね。よくよく考えてみると味方サイドはヒューズ以降は死亡キャラは出ていないんですけど―――今回ばっかしはランファンやばいと思いました。
よりによって、どうしてこのカードなんだよと。
そりゃロイやエドはブラッドレイを知っているから簡単に対決にはならないんだろうけど・・・・ということはリンが生き残ったら「軍にいる眼帯の男がホムンクルスだ」と知らされることになるので、ここでリンやランファンは殺されてしまうのか?と、あれこれ考えてみて―――
「貴方は・・・この国で一番偉い人だナ。たしか、キング・ブラッドレイ大総統。
王は民のために在る者。民無くして王は在りえなイ。
キング・ブラッドレイ!貴方は真の王にはなれなイ!!」
なるほど、コレを言わせるためのこのカードか!
素晴らしい、心底震えましたよ。“人の上に立つもの”としてブラッドレイとリンを対比させるために、こういうキャラ配置にしたのか・・・・一切のムダがないキャラ配置に改めて恐怖します。リン達を登場させたころから、こういう対決を考えていたのか。
というワケで―――もう一人、“人の上に立つもの”を目指すロイとブラッドレイの対決も確実な様子。このカードでようやくロイが頂点を目指す理由なんかが明かされるんではないかと。伏線が伏線としてキチッと機能している割に、キャラが有機的に動くので先の読めない展開。うーむ・・・・ホント思うんだけど、この漫画って一般の非ヲタな人達にも人気なのが信じられないんですよね。それほどテクニカルで玄人好みなマニアックな漫画だと思いますよ(誉め言葉です)
○ 窮地を脱したランファンの覚悟
この展開でランファンに惚れない男がいるのだろうか!!
「捨てんぞ」と決して部下を見捨てなかったリンと、その言葉で覚悟を決めるランファン。この時の眼が素晴らしいです。んでもって、下水道の中での「出し抜いてやったぞ」の表情―――あぁ!初登場時にエドに縛られてエロエロだったコだとは思えない!ムチャクチャ格好良かった。
しかし・・・・これで彼女も戦線離脱か。機械鎧にしても自由に動かせるまでに1年くらいはかかるはずなので、作中で復活できるかはかなり怪しいところ。ジジイもシン国から帰ってくるには時間がかかるし、リンは今後はエルリック兄弟と共闘することになるんでしょうか。
○ スカーとウィンリィ
最近ほとんど話に絡めていなかったウィンリィが、初めて兄弟が戦う場に居合わせてしまうことに―――しかも、よりによって相手が両親の仇。兄弟が目を逸らしていた事実を突きつけるスカーと、スカーに自分の姿を映し出すウィンリィ。
ここでスカーが「復讐は新たな復讐の芽を・・・・」とウィンリィの姿に師父の台詞を思い出すなど、これまでに張ってあった伏線を上手に絡めて、もうゴチャゴチャした展開に。スカー自身の過去も何となく分かってきたので、やっぱりコイツは最終的には味方サイドになるっぽい。イシュヴァール殲滅もブラッドレイの指示だったみたいですし。
そういや、このスカーの兄貴を殺した男というのは4巻に出てたキンブリー?
このキャラもすっかり忘れてた・・・・・・コイツ、どうなってたんですっけ。時間つくって最初から読み直してみないとワケが分からなくなってきました。
○ メイ・チャン、ニアミスです
10巻にメイ・チャンが出てたのは単なるファンサービスだったみたい。
エルリック兄弟と遭遇したものの、まだコイツがエドワードだとは知らないんですよね。んでもって、リンともタッチの差ですれ違い。後々これらのすれ違いが伏線になりそうな感じですが―――リンも別段有名人ってワケでもなさそうだし。うーん。
しかし、まさかパンダが別行動になるとは思わなかった。メイ・チャンとエド達の橋渡し役はリンがやるのかと思っていたんですが、まさかパンダとは(笑)
ピラミッドは『ジャガー』なんかではよくあるネタだけど、それでも噴出してしまいました。パンダ、メイ・チャンと同ランクなんだ・・・・・
○ ウィンリィとハボック
6巻のロイとホークアイの時と同じように、2つの場所での会話で一つの答えを辿り着ける構成。こういうの結構描くの難しいと思うんですけど、カッコよく仕上げてきますねー。ロイとホークアイは分かりやすいコンビだったんですが、ウィンリィとハボックは作中ではすれ違ってもいないですよね。
どういう繋がりかと思ったけど、きっとコレは終盤でこの二人が戻ってくる伏線なんではないかと思います。ウィンリィは戦闘に絡めるワケもないし、ハボックは復帰のメドが立たないし―――メイ・チャンの錬丹術も「流れがとまっているとこはムリ」って言っているし―――どう戻ってくるかは想像もつきませんが。
しかし、ウィンリィ→エドの感情をちゃんと明言しちゃうとは思わなかんだ。
10巻からちゃんと「背中」で伏線張っておいたのが大きいですね。キャラのポジションとして、そういう感情に辿り着くのは漫画として必然なんですが、ちゃんと伏線張って段階踏んでいるかどうかは重要だと思います。
○ ブラッドレイの正体に気付き始めたエド達
ランファンの覚悟によって無事に逃げ切ったリンの情報で、ついにエド達とロイがブラッドレイが敵であることを知る。コレは話が一気に進みそうですね。ブラッドレイを追い詰めようとするロイ達と、ホムンクルスと戦うエド達と二面展開になるのかな?
さて―――それよりもホムンクルス達の目的。
「国を利用して錬成陣を作ろうとしている」というマルコーの話を踏まえて、4巻のヒューズのシーンを読み直してみると。イシュヴァールの内乱とリオールの暴動から「軍がやばい」という結論に達していたので、マルコー同様に「錬成陣が作られている=それを計画している軍がヤバい」というとこまで踏み込んでいた模様。
つまり、あの時点でエンヴィーやラストがヒューズを殺していなければ、ブラッドレイの正体がもっと早くバレていたということか。
そして―――7人目の男:プライド。
「そっちにはプライドも付いてたはずだ」「グラトニーが捕まった時は現場にいなかった」「余計な時だけ現場に出てくるくせにて」という台詞から見ると、何だか既に登場している味方キャラの一人という気がしてきました。一人だけ顔が隠されているのも怪しいし、ロイが「もしも人間のふりをしているホムンクルスが他にもいて」と言っているのも伏線くさい。
しかし、グリードが殺された時の台詞を見ると、「人間と同じ気配がする」のはブラッドレイだけで、リンやランファンなら気付ける人物っぽいですね(だからこそ、ブラッドレイは「邪魔な能力だ」と抹殺を図ったのだろうし)
つまり―――リンやランファンと遭遇していない人物。ロイ組で言えばブレダとフェリーだけど、ブレダは10巻で東部に行っていたので該当せず。アームストロングも同様。ブロッシュ軍曹・・・・はリン達とは会っていないんですよね。怪しいけど、さすがに彼は違うと信じたい。
ということで、ウチの予想としては大穴でブラックハヤテ号。シルエットが違う!(笑)
<おまけページ>
カバー外した背表紙は誰もいません。これだけハデにドンパチやって死人0というのは意外。そして背表紙に誰もいなかったのは、12巻で初というのも意外(実は死んでいなかったというキャラはいたけど)
カバーの作者コメント、フィクションとノンフィクションの話はあっつい。昔『スラムダンク』で井上先生も「漫画よりも現実の試合の方がドラマティックなんだ」と嘆いていたことがありましたけど、でもそれはどちらが優れているということではなくて、フィクションにはフィクションの良さがあるということですよね。特に『ハガレン』みたいにキチッキチッと伏線張ってくるようなドラマはフィクションならではの美しさですよ。
ウソ次回予告、すげー笑った。
「おぬしだけが変身できると思うなよ」って何かのパロな気がするんだけど、なんだっけ。
質問まんが。
「物語を作る上で必要のないものは決めないことが多いです」には心底同意。“物語の作り方”みたいな初心者向けノウハウには「キャラごとにパーソナルなデータを決めておくべき」と書かれていることが多いんですけど、趣味や特技や家族構成なんかはともかく、誕生日や血液型って決めたからといって話に絡められるとは思えませんもの。
「細っこいとメシ食わせてもらってないみたいで」は、ちょっと耳が痛い。僕は細いおにゃのこしか描けないんで、これじゃマズいんだなぁと反省しました。別に現実では細いコが好きなワケでもないんですけどねぇ・・・・・
<4コマ錬成編>
というワケで初回限定版の特典冊子。
DVD収録4コマはアニメ観ていなかったんで、キャラとか展開が分からず、ひょっとしてこれって漫画版の方のネタバレなんでないのと思っちゃって微妙・・・・・
分量が一番多かったのはトイレに入った人が続きを描くというリレー4コマ。
これって絵を描いている人が違うってだけで、内容は最初から決まっているんですよね?
ちゃんと起承転結できているものばかりなんで、1コマ1コマ各自が考えているってワケでもなさそう。
しかし、アシスタントでも違和感なくキャラが描けるもんなんですね。むしろ時間的な問題なのか、アシの方が精巧な絵だったりしててビックリ。しかし、高枝さんって人、トイレ近いんだな・・・・・(汗)
4コマ中2コマ描いている作品がチラホラ。
一番大笑いしたのは最後の「大団円」です。こんな最終回だったら伝説の作品になります。
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