ブラックジャックによろしく 11巻 ブラックジャックによろしく 10巻 ブラックジャックによろしく 9巻 吼えろペン 13巻 吼えろペン12巻 吼えろペン 11巻



ブラックジャックによろしく 11巻 Amazonで購入
佐藤秀峰
講談社・モーニングKC
2005年4月22日・発売
医療・社会派・自分捜し
 まずは前巻ラストで伊勢谷が言っていた「犯人は精神障害者ではないかも知れない」という仮説の意味から―――以下は、全て伊勢谷と門脇の仮説<男は「精神病と偽れば罪を免れる」と判断して、ムチャクチャな証言をしている。しかし、それは過去に男が犯罪を犯した際に、起訴を面倒がった検察とソレを受け入れた病院によって「精神障害者」に仕立て上げられたから>
 この仮説が本当でも、種本の言うとおり・・・・・これを記事にすることで“現状救われる人”はほとんどいないんですよね。遺族は臓物煮えくり返るだけですし、その新聞は売れなくなるし。

 ただ、“未来救われる人”を考えたらどうだろうかと門脇の反論―――
 
「今度事件が起こった時は・・・何も言わなかったマスコミの責任だ!!」

 とりあえずは門脇メインのマスコミ話は中断ですか。現段階では種本の言い分の方がよっぽど正論に聞こえるので、イライラが溜まります。ちゃんと解消されるのでしょうか・・・・・・


 政治パートの話はね・・・・・顔がホンモノの総理大臣に似てるのは漫画ではよくあることですけど、口調とか雰囲気とかまでまんまですものね。まー『キマイラ』みたいに分かりやすくアホな発言をしている訳でもないので、問題はないんでしょうが。

 医療パートは・・・・・・・さすがに鬱な展開ですね。ちょっと読むのが辛くなってきました。
 
「今まで日本人は精神障害者を病院に閉じ込め・・・・治療と称して社会から隔離してきました・・・精神障害者について人前で語ることをタブーとし、患者の家族の多くもそれを望みました。
 家族は気の狂った身内を人の目から遠ざけるために金を払い続け・・・病院は、金を生み続ける患者を“固定資産”と呼びました・・・・」


 9巻・10巻で門脇が言っていた「伊勢谷の罪」とは、こうした患者を治療し退院させてきたこと。そのために病棟を改革して、病院側の体制を整えてきたと・・・・・・これだけ聞けば物凄く正しいことのように思えるんですが、社会の方には“(元という言い方をするのでしょうか?)精神障害者の受け皿”が出来てない現状です。
 「退院した精神障害者が問題を起こすケースは少ない」と作中では言われているので、本人ではなく周囲の問題で挫折してしまうってことでしょう。伊勢谷の言う1960年代のアメリカのように、ホームレスや自殺者になってしまう人も多いでしょう。 それでも、タブー化するよりも、こうして社会へと解き放して社会問題化して認知度が上がれば―――

 つまり、これから退院する小沢さんが「決して上手くいかない」ことなんかは伊勢谷は分かっていて(それも本人ではなく職場の問題とかで)、それでも彼を見捨てることしか出来ないのが「罪」だってことですね。
 そこまでは予定調和的に描かれるのでしょうから、そこから斉藤が如何に行動して彼を救えるのかって話になるんでしょうか。早川さんの役割とか門脇さんとか、直接絡めるには微妙な気もします。風呂敷を広げすぎて、ちゃんとまとまるのかどうかが不安・・・・・・・











ブラックジャックによろしく 10巻 Amazonで購入
佐藤秀峰
講談社・モーニングKC
2004年10月22日・発売
医療・社会派・自分捜し
 生命の誕生を描いたNICU編、生命の終焉を描いたがん医療編―――この2つと比べても遜色がないほど、怒涛の展開を見せた10巻。精神科編の2冊目だね。精神病患者同士で恋愛を始める小沢、患者を人間として精神科を開かせたい伊勢谷、真実を新聞で伝えたい門脇。それぞれの思惑を描きつつ、その全てをぶち壊す重大事件が発生する。世論は完全に精神病患=犯罪者予備軍だとみなし、その要望に応えるようにマスコミは歪みまくった報道を繰り返す。壮絶かつ繊細な物語が幕を開け、我々読者に「考えること」を要求してくる。
 コレだよ、コレ。佐藤秀峰の真骨頂。前の9巻1冊使って小沢さんを描いた分だけ、読者は「精神病患者だって僕らと大差ない」と思わせることが出来ている。よって、読者的に感情移入する相手は、世論に真っ向から立ち向かう伊勢谷&門脇視点になる。

 しかし、その反論サイドの二人も意見に細かい違いがあるわ、種本の言い分は恐ろしく正しいわ。安心できない伏線がそこらに張られている。前半アレだけ自立しようとしていた小沢さんも、精神病自体は一向に回復できていないような描写もあるし・・・・・・(非常に繊細な描写なので、あのシーンが何を意味しているかは断言できないけど)

 これはやばい。『海猿』で描けなかったマスコミの在り方をここまで描いてくれるとは、この精神科編で『ブラックジャックによろしく』も終わりなのかなーと思った。最終章だとして、ここまで相応しい題材もないだろうから。











ブラックジャックによろしく 9巻 Amazonで購入
佐藤秀峰
講談社・モーニングKC
2004年7月23日・発売
医療・社会派・自分捜し
 表紙は丸顔の斉藤・・・・だよね。太りすぎて、誰だか分からん。
 中表紙は門脇の勤める新聞社の様子なのだが、こっちの方がカッチョいい。
 前巻でがん治療編が終わったので、ここから区切りよく精神科がスタートする。NICU編で「生命の誕生」、がん治療編で「命の終わり」を描いたので、今度は「生き方」を描くのかな。単に精神病患者を描くだけでなく、新聞記者の体験入院や斉藤自身の持つ差別意識を絡めて社会派のネタに仕上げている。『海猿』で中途半端に終えてしまったマスコミの意義や、NICU編でチラッと触れた差別意識の部分をようやく掘り下げてくれるみたい。
 『海猿』を読んだ人なら分かるだろうけど、佐藤秀峰はこんな風に一つのテーマを複数の角度から描くのが無茶苦茶上手い。まだ導入部なので何とも言えないが、ひたすら無力感に襲われたがん治療編よりも期待が持てそうだ。

 しかし、アレだ。俺も小沢さんの一歩手前だ。
 「あーゆーのに限ってロリコンだったりするんだよ」とか言われてるし。
 ・・・・・・・・・で、ラストページと予告。佐藤秀峰の描く女のコの癖に、美少女が登場。隔離された空間に、美少女と二人・・・・・・・・これで手を出したからってロリコン呼ばわりは酷いだろ!









『新吼えろペン』の感想はコチラ






吼えろペン 13巻 Amazonで購入
島本和彦
小学館・サンデーGXコミックス
2004年12月17日・発売
漫画家・業界ネタ・職業
 衝撃の最終巻。
 熱く熱く何よりも熱かった『吼えろペン』だけど、このラストは切な過ぎて心にぽっかりと空洞を作っていったようでした。まさか、こんなラストだとは思いもしなかったです・・・・・・・・人間の欲を嘲笑った寓話のような読後感を覚えました。ヒーロー・・・・・・・・

 表紙は“有名マンガ家の嫁志望”飛鳥響香を伴ったヒーローと、その見つめる先にそびえる炎プロの面々という構図。飛鳥響香は一発ネタかと思いきや、まさかの再登場ですよ。しかも、かなり重要な役割を担うという・・・・・・ぶっちゃけ、これが一番の衝撃でした。
 本編。コミックス1冊4話まるまる最終回の話です。流れを読みきれないシャイニング編集部に業を煮やした星デスクが、他社に引き抜かれるくらいなら自分も移籍してやると看板作家を従えてロイヤル出版へと旅立つことに。業界ネタはあまり詳しくないのですけど、ブレイドとかバンチとかみたいなものですかね。かなりギリギリのネタ。
 しかも、ロイヤル出版って・・・・・・・ロイヤル=英国の? そりゃ、ネタとしてマズいだろーと思いつつ、パーティでの「出版社の中には〜」の件には大いに唸らされることに。確かに、あの出版社は「ウチは漫画を作ってナンボの会社だからね!」と編集者が胸を張って言える稀有な出版社ですし・・・・・この時点ではロイヤル出版の方が全面的に正しくて焦りました。これを小学館で描いて良いのか!他の出版社でも連載を持ってる島本が描いて良いのか!って。

 でも、炎尾燃の質問辺りからコレをひっくり返す。
 「優れたマンガとは、単純に「売れてるマンガ」のことでしょうか?」から、星デスクの「慣れないマンガ業界に〜」の辺りでロイヤル出版の信念を覆すことに。しかし、メディアミックスを利用した戦略ってのは、むしろ小学館が得意な分野なんじゃないのかって不安に(苦笑)

 かくして、シャイニングに残った炎尾vsクラッシャーで連載が決まったヒーローとの別離に。哀しいことに師匠を超える場所を与えられなかった(流れ星のせいで)ヒーローは自分の力に溺れ、完膚なきまでに叩きのめされた炎尾がライバル作家達との共闘で輝きを取り戻すことに。それまで「うわぁ・・・・炎尾燃ってクラッシャーに引き抜かれないほどの作家だったんだ」と読者に思わせていた分、このシーンでの星デスク「こんな時のために炎尾はクラッシャーに引き抜かずにおいたのよ!!」で裏っ返すことに。むっちゃ燃え。

 ただ、残念なのは・・・・誰がシャイニングで連載していた作家なのか、読者にはよく分かってなかったこと。富士鷹はリベンジ、サブリミナルはキャッチ・・・・だとして。荒越は出版社不明だったか(10巻)。大文字もリベンジ(ボツになってたけど・10巻)。でも、ジャイ藤先生はどこかでシャイニングだって描写があったような気がするんですが・・・・・・なので、あの7人が出てきた時には一瞬意味が分からなかったです。そこが勿体ない。


 しかし、巻末の後書きマンガも本編と同じくらいに暴露してますね・・・・・・度重なる方向転換は、担当編集がコロコロ変わったことによるという。島本氏くらいの作家さんでも、やはり担当の影響は無視できないんですね。個人的には業界暴露の頃が好きでしたから、方向転換のおかげではあるんですけど。








吼えろペン 12巻 Amazonで購入
島本和彦
小学館・サンデーGXコミックス
2004年7月16日・発売
漫画家・業界ネタ・職業
 何故か、2冊同時刊行。ホント何故だろう?
 表紙は星デスクに立ち向かう炎尾とジュビロ。いや、この構図は変だろ。本編では炎尾vsジュビロなんだから・・・・・無駄に格好良いから、良いけどさ。
 月刊シャイニングの目立たない編集長の話、海外旅行の為にスケジュールを切り詰めた作家達の戦い、作家の海外旅行中に残されたアシスタント達がとった行動、そして野球漫画を描く権利を巡って炎尾とジュビロが野球で対決<前後編>の5本を収録。何だか、お得な感じだ。うん、11巻よりもコッチの方が好きだ。どれもアタリだった。

 と思ったんだけど、こちらには後書き漫画がないのね。仕方ないか・・・・・

 一番笑ったのが、巻末コメントに全作家が「海外旅行」とコメントしてるとこ。サンデーとかでも、たまにほとんど一緒のことがあるけど・・・・流石に全部一緒だったら編集部でストップかかるだろうよ。
 あと、危険なのがヒーローが持ち込んだ先。
丸山書店というあからさまに某社を指している出版社で、すげー危険なこと言われている。「読者の好みに合わせろ」とか「世の中をダメにする商品を!」とか「誰かの作品をモロにパクリましたとか!」 これ、やばいだろ。
 ひょっとしたら、ビルや看板も本物に似せているのかなぁ・・・・流石に元ネタ全部は分からないや。

 あと、何げに最後のヒーローの「スケジュールを守ることが幸せなのではなく、守ろうと頑張ることこそが本当の幸せなのではないか」って台詞は名言だと思う。俺もリミットつけて作業したときの方が数倍楽しいもん。








吼えろペン 11巻 Amazonで購入
島本和彦
小学館・サンデーGXコミックス
2004年7月16日・発売
漫画家・業界ネタ・職業
 表紙は妖精を見てイカレちゃっている炎尾燃(笑)
 新人賞をかけてジュビロと対決する若手育成編。若手人気俳優のプロモーションの為に、彼の自伝を描く自伝マンガ編。世の映画がつまらなかったからといって、アマチュア映画祭の応援団長を引き受けてしまうアマ映画編。そして、忙しいスタジオに一匹の妖精が降り立つポイントサービス編の4編を収録。
 やっぱり、これは片手間で読むには不向きな漫画だなぁ。思わぬところで、口の中のモノ噴出してしまう。もはやどの辺りが漫画家の仕事なのか分からないけど、他人のネームを描いたり、画材の話から妖精が出てきたり・・・・ぎりぎり業界ネタなのかな?

 今回唯一の漫画内漫画である若手俳優の自伝に爆笑。板垣漫画か、こいつら。
 で、それにクレームを出すプロダクションの「デビュー前に山で熊は倒してない」にも笑った。この期に及んで、大人の対応かよ!もっとツッコむところあるだろ!
 あと、ポイントサービス編の女店員が妙なツボに。まさか島本作品の女のコにときめくとは・・・・『アニメ店長』のキャラなのか。これも購入希望リストに入れておかねば。



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