浦沢直樹
小学館・スピリッツコミックス
2005年6月30日・発売
SF・正義のための戦い・ノスタルジー |
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僕はずっとこの漫画の“一度全員がバラバラになって再集結して決戦”のパターンを、「FFVIみたいだ」と言い続けてきたのですが、あながち間違っていたワケでもないみたいです。東京での各人の動きはウダウダしていて面白くないんですが、最北の地から東京へと向かうケンヂ&蝶野達にはRPGみたいな熱さがありました。
越えられない関所。そこに住む人々の想い。旧キャラの登場、そして力を合わせて難関突破。因縁の敵との再会―――やはり、浦沢漫画は「目的」と「目標」がハッキリした時の方が抜群の面白さです。氏木常雄があっちぃー。
○ 漫画家連中は捨てキャラではなかった
僕は1年半くらい前から「ケンヂの歌と角田達の漫画が人々の心を目覚めさせるんじゃないか」と言い続けていたので、氏木の再登場にはガッツポーズでした。そして、本当に漫画で兵士を説得しようとしてるし(笑)
○ 悪役の方が全然かっこいいじゃないですか
この伏線―――コミックス2巻ですよ(『後ろの男』参照)。5年以上前です。
流石にケンヂとの因縁は後付けでしょうけど、この男がキリコの彼氏(諸星さん)を殺したというのはその頃から明らかにされていたので、ケンヂとの対峙はゾクゾクしました。5年前の時点では、ケンヂがちゃんと「正義の味方」としてコイツと向き合うなんてこと想像も出来なかったですし。
それと、この男の登場シーン。2巻のその台詞を思い出させるように、「テレビやマンガに出てくる」悪役をモニターで流しているのが芸が細かいです。僕の世代だと、ピッコロ大魔王くらいしか分からないけど・・・・・(てゆうか、ドラゴンボールだけ世代が違うんじゃないかな?)
○ キリコがレジデント研修資格をとっていた理由
『サカ猿2』時代の15巻の感想のコピペを下に置いておくので、キリコの動向をコレで把握しておきましょう。流石に長期連載作品なので矛盾っぽいとこもあるんですが・・・・
大学入試・・・ケンヂの事故で志望していた大学の試験は受けられず。他の大学は受けなかったのか??(→私立には受かっていたらしい)
94年前?・・・父死亡、酒屋を継ぐ。
94年・・・酒屋の仕事が忙しく、諸星さんのプロポーズを断る。諸星さん死亡。
多分、直後・・・失踪。※ この間に“ともだち”と接触
94年?・・・アフリカで医師の資格を取る。(※証書に数字が入っているのだが、写真が老けているので微妙ではある)※ 11巻『廃墟』参照
95年・・・鳴浜町でワクチンを作る。病院は友民党系列で、ヤマネも勤めていた(※ワープロ字の手紙がヤマネからのものならば、失踪前から交流があったのだと思われる。クマノミにつけた名前の意味は?)※ クマノミは、理科室の魚にヤマネが「キリコ」と名付けていたこと(11巻)
97年・・・カンナを出産、遠藤家にカンナを預けて再び失踪。
02年・・・鳴浜町に再び現れる。病院跡を調べた後、計画の為にヤマネを捜す旅に。
03年・・・ヤマネと接触。計画の話以前に、ヤマネの作ったウィルスのワクチンを作るために消える。ヤマネも失踪。
14年・・・アフリカでワクチンを完成させる。スイスの製薬会社を経て、ドイツに(※1本だけのワクチンは伏線でも何でもないだろう)
15年・・・アメリカ・ミシガン湖畔の製薬工場。工場は破壊される。
一番の謎だった「一度諦めた大学への道を、諸星さんが死んだ後に果たしたのは?」という理由が、ようやく明かされました。やはり“ともだち”が絡んでいたのですね。ということなら、ワープロの手紙『あなたの計画と私の計画〜』(これも2巻ですね)の差出人は“ともだち”ってことなのかな?
○ その他のプチネタ
蝶野にあれだけ訊かれても名乗らなかったケンヂが名乗るシーンと、「お前の名は何だ」と尋ねるシーンが無茶苦茶格好良かったです。
しかし、ケンヂは18年間も何をしてたのかと思ったら、その内の15年は記憶喪失だったという・・・・そりゃ・・・幾らなんでも(汗)
御都合主義のような・・・・・・・
でも、そうか。仲間だと思っていた男が真犯人で、世界がひっくり返されちゃったのだもんなぁ。記憶も人格も吹っ飛んじゃいそうな気もします。
またしても「引き金を引けない蝶野」の描写が入りました。ここまで繰り返されると絶対に伏線だと思っちゃうのですが、浦沢先生って『MASTERキートン』でも『MONSTER』でも主人公が銃を撃つことを否定していたので・・・・・単純に蝶野が銃を撃って伏線消化ってワケにもいかないでしょうしねぇ。
小泉の環境適応能力は尊敬に値する。
「あなた、こないだの人と同じ人?」は、ひょっとしたら“ともだち”の全ての謎を明らかにする台詞なのかも知れないですね。多分、この“ともだち”は3人目だから・・・・
○ 旧キャラ再登場祭りなので
今のうちにキャラのポジションを確認しておこうかなって思います。コミックス未収録分には触れませんので、そういうツッコミは勘弁して下さい。
<同級生面々>
・ケンヂ・・・東北から関東への関所を越えました。人格が違うような気もしますが、やっぱケンヂが不器用に頑張ってこそ『20世紀少年』って感じですね。カッチョええ。
・オッチョ・・・現在、東京。カンナ・ヨシツネと再会。カンナとともに万丈目から“ともだち”の暗殺を依頼される。
・マルオ・・・春波男とともに芸能活動をしつつ、“ともだち”の裏側を探る日々?
神様とは接触したけど、カンナ・オッチョ・ヨシツネとは接触できてないみたい。そういえば2015年段階では北海道にいたんだっけ。教えてやればいいのに、神様も。
・ヨシツネ・・・ゲンジ一派を名乗り、地道に政治犯を助けたりしていたみたいです。カンナと再会
※ ちなみにケンヂ以外の3人には奥さん(元・ってのがほとんど)がいて、マルオに至っては息子がいます。マルオの息子はどっかで出てくると呼んでいるんだけど、どうだろう?
・ユキジ・・・“ヨシツネ達”と言われてることから、一緒に行動をしているのかな?
・ブルー・スリー・・・そういや。どうしたんだっけ、この犬。
・モンちゃん・・・2002年の夏にサダキヨに会いに行き、モンちゃんメモを残したまま、サダキヨに撲殺される(11巻)―――多分。でも、後頭部一撃なら当たり所が良くて生きてるって可能性はあるような気もします。16年間登場しなかった理由は「記憶喪失」でお願いします(笑)
・フクベエ・・・まぁ、「カンナが赤ん坊の頃に抱き上げた」のも「理科室で首を吊った」のも「2015年の元旦で撃たれ死亡した」のもフクベエで正しいとは思うんですけど。“ともだち”が実は何人もいるってパターンなら、一番哀しいキャラかも知れないなぁ。
・サダキヨ・・・2014年、モンちゃんメモを小泉に託した後、“ともだち”の居場所に向かおうとする最中に車が炎上(11巻)―――生きてても不思議のない描き方ですが、「ズルはダメだ」の台詞を信じるなら敵ではない気がするんだよなぁ。
・ヤマネ・・・謎を振りまくだけ振りまいて、名もなき一般兵に殺される(12巻)。正直、こういうキャラをバンバン出したせいでこんなに連載が長引いているんだと思うよ。
・ケロヨン・・・2015年、万博直前。キリコを助けるためにミシガン湖に息子ともども向かう(15巻)。そこから出番なしだけど、キリコ再登場の鍵を握っているのは確実。
・コンチ・・・大人姿が一回も描かれてないレアキャラ。子ども時代はケロヨンとセットで描かれることが多かった。流石に完全な新キャラで出てくるのは考えにくいかなぁ・・・・
・関口先生・・・流石にもう再登場しないだろう。
<“ともだち”一味>
・“ともだち”・・・こう描かれたってことは、単純にフクベエってことではないんでしょう。恐らく既出キャラが“ともだち”の中の人ってオチだと思うんですが・・・・
・万丈目・・・現在、東京。カンナとオッチョに接触。人質と引き換えに“ともだち”暗殺を依頼してきた。親友隊と地球防衛軍はベツモノで、親友隊の方は自由に動かせるみたい。
・高須・・・2015年時点では会議にいたんですが、17巻の定例会議には出てませんでした。ヒットマンの男と同様に何処かに飛ばされたんでしょうか。
・ヤマさん・・・こちらは17巻の定例会議にそれっぽい人が確認できます。蝶野をクビにしなかったのはこの人のおかげらしいんですが、蝶野の方はヤマさんの本性に気付いているんじゃなかったっけ・・・・(6巻の『最後の希望』参照)
・敷島教授の娘・・・この人も高須と一緒でともだち歴になってから消息不明。ケンヂと接触したことがあるので、どこかで再会するとは思うんですけど・・・・・
・ヒットマン・・・19巻で関所のボスとして再登場。この漫画でちゃんと敵を倒せたのって初めてなんじゃないか・・・・??(ホクロの巡査は13番に殺されたんだし)
・13番(田村マサオ)・・・ドンキーの元教え子。2015年にて“ともだち”狙撃後は行方不明。捕まったってことはないと思うのだけど・・・・・・実は万丈目よりも危険人物なので、“ともだち”の中の一人は彼なんじゃないかと予想してみたり。
・新巻鮭の男(森園滋勝)・・・トモコの彼氏の隣人。トモコはヨシツネの部下が救ったんですけど、それ以後はユキジ達が取り逃がしたんですよね。浦沢先生ももう忘れてるかも知れないですけど、それじゃあんまりです・・・・・
※ “ともだち”復活に関しては、理科室でヤマネに殺された後―――高須・敷島教授の娘・ユキジが素顔を見かけてるってことが重要ですね。うーん・・・まさか、ホントにクローンとかいうオチじゃないだろうな。
<2014〜15年メンバー>
・カンナ・・・ゲンジ一派に反発して、“氷の女王”として急進派をまとめる。でも、その後に部下が全員万丈目に捕まって、“ともだち”の暗殺を依頼される・・・・と、何だか昔のカリスマ性みたいなものが完全に消えうせてしまったような。あと、貧乳っぷりまで失ってしまったような。やっぱり、女子高生というブランドを失ったのは大きいのか
・小泉・・・万博に行かなかった組として、マルオや春と合流。賑やかすだけなんだけど、このコが出てると元気が出てきます。でも―――もう本筋には絡みそうにないなぁ。
・蝶野・・・まさか、まさかのメイン張ってます。ケンヂとともに東京を目指す上に、拳銃を撃てない伏線も進行中。ヤマさんとの対決があるんだとしたら、今から涙腺が壊れてしまいそうです。
・仁谷神父・・・マフィアの方々が全滅した今、ヤクザ達を仕切ってるのは彼なのか?
ちょっとここらの力関係が分かりにくいですね。まぁ、ローマ法王との再会が終わった今後はメインにはならないかな。
・神様・・・何故だか各キャラを繋げるポジションになっちゃいましたね。すっかり枯れ果てたのかと思いきや、小泉との再会で復活―――ケンヂ再来を予知したのか?
・角田・・・最後の最後でメインになると予想しています。
・マライアさん、珍さん・・・忘れられただけかなぁ。マライアさんは10巻以降、珍さんは6巻以降出番がないですね。
・着流しの男・・・「だから、この人がコンチなんだって!」と言い続けてきたものの。流石にこう出番がないと、だからなんだってことになっちゃいますね。
ルチアーノ神父・・・やはり“ともだち”暗殺の濡れ衣を着せられたとか、そんなかな。蝶野が東京に戻れば一イベントくらいはあるかも?
<その他のメンバー>
・サナエとカツオ・・・まさか、本当にコレで出番終わりじゃないだろうな。内藤先輩もちゃんと出てくるんですよね?
・DJ・・・一応、春やマルオが接触を試みてるんで再登場の可能性は高い?
・キリコ・・・上にも書いたんですが、2015年時点でアメリカにいたのは間違いなくて。ここからワクチンが奪われたってことなんでしょうかね。キリコのことだけでなく、2015年に何が起こったのかは誰も語らないのが不自然な気もします・・・・再登場は間違いないんでしょうが、全員が全員再登場祭り状態で彼女が登場されても盛り上がるかどうか微妙だと思います。
しんよげんの書はまだ良いとして、モンちゃんメモは結局何のための描写だったんでしょうね。単にキリコの消息を判明させたかっただけ?
モンちゃんとサダキヨが命を懸けて託したものが、あんまし役に立たなかったのが・・・・・・ナンとも。
確かにこの巻は面白かったけど、中弛みしていた頃に登場した要素を放置させすぎですよね。さて、この漫画―――ちゃんと収拾つくんでしょうか。 |